風にキス、君にキス。
――――…日向。
聞こえる?
この声を例えあなたが聞いてくれなくても、あたしは語り掛けるよ。
日向だけじゃない。
日向だけ…じゃないよ。
皆傷付いて…受け入れたくなくて、でも折れそうな心を引きずりながら確かに歩きだそうとしている。
"諦めないで"よりも"一人じゃないよ"って、言えたなら良かったね。
あなたにとって、走ることが生きることと同じだったこと…あたしは知っていたつもりで、まだまだ分かっていなかった。
だけどあたし達が日向に光を与えられると思ったことはね、間違いだったとは思わないんだ。
後悔…してないよ。
あたしが陸上に出会ったことも
日向が陸上に出会ったことも
…日向に、出会ったことも。