風にキス、君にキス。
憎らしい奴。
…俺よりもバカで、泣き虫のくせに。
「あ。」
「なぁに?」
「トップアスリートもいいけど、もし無理だったら…」
「だったら?」
だったら…?
…その先の記憶は無かった。
何故か、すっぽりと抜け落ちていた。
まるであの頃の俺が、悪戯で隠したかのように。
"もし無理だったら…"
その答えが気になって、眠れなかった。
…結局答えを見つけたのは、明け方で。
俺はすっかり眠りへと落ちていた。