風にキス、君にキス。
そう言うと、そいつはかはっと笑った。
「あ、なんだ。悪い悪い。
入学早々先輩に怒られんのかと思ったわ」
「でも、何やってんだよ?入学早々」
引き込まれていた。
魅せられていた。
…こいつの持つ空気に、雰囲気に、内に秘める何かに。
だから普段はあまり誰かに話し掛けることはない俺でも、自然に言葉を繋いでいた。
「ん、軽く偵察」
「…もしかして、お前も陸上部?」
雰囲気も
体も
そしてその行動も
…初めて会ったとは思えなかった。
そう考えれば、見た瞬間から感じたこの"common feeling(共通の感情)"は納得がいく。
「…お、よく分かったね」
正解、とそいつは青空を見上げた。