風にキス、君にキス。
戻るもの、戻らないもの。
「おはよう、日向」
「早いな」
制服のネクタイを結びながら、日向があたしを見て笑った。
「寝癖、ついてんじゃん」
「え…!?ええっ!?」
「俺のことよりも自分のことに構えよな」
髪を撫でると、確かに感じる寝癖があった。
…うぅ、反論出来ん…
「こっ、これはメッシュ!お洒落の一種なのっ」
「嘘つけ。バーカ」
「うーっ…!」
「遅刻すんぞ」
雲一つない、青空の下。
日向と一緒に…学校への道を歩いた。
…それはもちろん、幻なんかじゃない。