風にキス、君にキス。
「お、゙藤島の風゙が戻ってきた…」
休憩しながら日向を眺めていた雄大先輩が、そう呟いた。
…その言葉は、あたし達の気持ちを全て象徴するものだった。
風がまた生まれたんだ…
…この場所にまた、風が吹くようになったんだ…
「もうすぐ合宿だなー…」
「え、あたし達もう二年生だっけ?」
「…お前、本当に起きてんのか?」
「起きてるよっ」
いつまでも隆史先輩が部室にいるから、ずっと一年生のような気がしてた。
そう付け足すと、日向が軽く伸びをしながら「あー…確かに」と呟いた。
「うちの学校、スポーツ以外は適当だからクラス替えも何も無いしな」
長く入院していた日向が進級出来たのも、この適当な学校の広い心のおかげだった。
…もちろん、日向の頭の良さも効いたけど。