風にキス、君にキス。
顧問は、例によって不参加。
陸上経験者がいないために仕方なく顧問を引き受けたという体育教師のおじさんは、あまり…というか殆どやる気がなくて。
陸上部自体には顔を出さない上に、合宿は許可は出してくれたけれど不参加ということだった。
…もうすっかり慣れたけれど。
「マネージャー、色々大変だと思うけど…俺達も頑張るから。四日間、よろしくな」
「こちらこそ」
真琴先輩が皆を代表してそう言ってくれて。
…あたしも、ぺこんと頭を下げた。
頑張らなくちゃ。
皆が気持ち良く、練習出来るように。
「さっそくコースを走るぞ!」
「はいっ」
あたしも、ゆっくりでもいいから走って付いて行くつもりだった。
他の何でもなく、日向の様子を見るために。