風にキス、君にキス。
日向Side
星、夢、未来。
走っている…この瞬間。
風になっている…この瞬間。
「池の回り、あと一周するぞ!」
「はいっ」
早朝の景色は凄く爽やかだった。
風は少し冷たく、でも体は暖かい。
足が地面を踏みしめるたびに、幸せを感じる。
「日向、大丈夫か?」
「余裕」
今のところ、足に違和感は全く無かった。
以前のようにまた動くようになって…幸せ以外の何でもなかった。
…それでも、ちゃんと分かっていた。
俺が走ることは、多くの人に心配を掛けているのだということぐらい。
「お疲れ様でしたっ」
外に出て、待っていたらしく。
…俺の姿を見ると真っ先に走ってくる柚。
柚は多分俺以上に、俺のことを心配してる。