風にキス、君にキス。
柚が少し涙目になったのが分かって。
…少し意地悪だったかと反省しつつも、可愛いなと思ってしまった。
「初めは確率が20分の1だったけど、今は40000分の1らしい」
「じゃ…大丈夫、かな…?」
「でもいつ何処で何が墜ちてくんのか…何が壊れるのか、宇宙に生きてる限りは分からないだろ?」
意地悪するつもりではなく。
…それは本当に感じたことだった。
「うー…」
「明日、またビッグバンが起きて宇宙が破壊するかもしれない」
「…」
「この一時間後、ハレー彗星が…」
「日向の意地悪っ」
あ、むくれた。
…膝を抱えてぷいと俺に背を向けた柚の、長い髪を少し摘んで引っ張った。
「おーい」
「う…」
「柚さーん」
…いつまでもガキだな、本当。