風にキス、君にキス。



凄いなと思う反面、謎だった。



…今まで先輩がそんな進路を口にしたことがなかったから。



「なんていうか…今の日本の法律は間違っているところが多いと思うんだ」


「…え?」


「例えば、日向の事故。



…相手は飲酒運転だった。なのに懲役も罰金もそこまで重くない。



飲酒運転なんかで日向の未来の可能性を奪った大人が、そんな軽い罰で許されていいとは思わない」



そう言う先輩の表情は、あたしの知っているものではなかった。



…まっすぐと、迷いなく未来を見つめていた。




「…日向だけじゃない。世の中には、そんなやるせない思いを持ってる人がたくさんいるはずだから。



少しでも力になりたいって思ってさ」


「…先輩なら、頑張れますよ」



泣きそうになったけれど、なんとか微笑んだ。



嬉しいとか、幸せだとか…そんな言葉では言い表わせない気持ちだった。








―――日向…




あなたの存在は確かに



あたし達の゙道しるべ゙でした…







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