風にキス、君にキス。



「うっ、それは…」



そこを突かれると痛い。



反論出来ないあたしに、また部員全員が笑った。








「…もう、日向は本当に意地悪なんだからっ」


「本当のこと言ってるだけなんですけど?」


「本当のことだから腹立つのっ」



帰り道。



…そう膨れるあたしの頬を軽くつねって、日向は笑った。



「お、頬が伸びる伸びる」


「うー…」


「怒んなよ。…酷い顔だから」


「なっ…」



…反論しようとした、その時だった。



「っ…」



柔らかい、日向の髪が微かに額に触れたと思ったら。



「んんっ…」



温かい唇を重ねられて。



言葉が遮られた。




「ん…っ」



日向に抱き締められると、体の力が全て抜けてしまう。



心地よくて


切なくて



…だけど、どこか物足りなくなる。




「日向…っ」


「ん…?」



ぎゅっと、その腕を握り締めて。



…あたしは日向の目を見ないまま、呟くように言った。




「…もっと…キス、して…?」


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