風にキス、君にキス。
華奢な柚の体には少し大きなジャージ越しに伝わる、愛しい温もり。
「…」
「…柚」
ぎこちなく目を逸らす、その表情が可愛くて。
思わずからかいたくなった。
「…こっち、向いてみ」
「むっ、無理!」
そう言いながらも、ぎゅっと俺に抱きつく柚の髪に指を絡めて。
優しく、撫でた。
「こらっ、そこイチャつくなっ!」
「…うるせーな…」
「柚ちゃん!水っ」
「はっ…はいっ!」
呆気なくその温もりは俺の腕から解かれ。
…たたたっ…と他の部員達へと走っていく。
もうすっかり見慣れた、柚のジャージ姿の…後ろ姿。