風にキス、君にキス。
君はきっと…知っているだろう。
俺は幸せなんだ。
凄く凄く…幸せなんだ。
…だからさ、もうこれ以上何も要らない。
何も…要らないんだよ…
―――――日向。
日向、ひな…たっ…
…少しずつ、その声が聞こえてくる。
耳に入り込んでくる。
薄れた意識が少しずつはっきりとしてきて…
…僅かに目を開けると、ぼんやりと歪んだ天井が見えた。
「日向…っ、いなくならないで…」
…しゃくり上げる、愛しい声と共に。