風にキス、君にキス。
「俺も…」
日向は目を伏せて、あたしを抱き締める力を強めた。
「…ひな、た…?」
「俺も、柚が…大好きだ」
―――――…日向に好きだと伝えたのも
好きだと伝えられたのも
抱き締められたのも
その温もりを感じたのも
…゙いつがの話をしたのも
これが最後の
愛しい瞬間でした。
明日と明日のその先を知らないあたし達は
知る術を持たないあたし達は
ただ、走るしかないのです。
今日の終わりへと
ラスト・スパートを掛けて…