風にキス、君にキス。
拓巳Side
響かせて
「ふぅ…」
家を出て、涼しい朝の空気を感じるために深呼吸をした。
…空は、青い。
風も程よく吹いていて
始まりと終わりに相応しい天気だった。
「じゃ、行ってくるから」
「頑張ってね」
呑気な母さんの声に送り出され、学校へと向かう。
慣れた道のりのはずなのにやたら長く感じて…自然と駆け足になっていた。
「…お」
だけど毎朝通る向日葵畑に差し掛かると、いつも自然と足が止まってしまう。
堂々と空に胸を張って咲き誇る向日葵を見ると思わず笑みが零れた。
憧れ、希望。
そんな花言葉を持つからだろうか。
希望に満ち溢れた向日葵を見ると、断然力が湧いてきた。