風にキス、君にキス。
我ながら肝心なこと抜けてたな…
「悪い悪い。まさかそこまで期待されてるとは思わなかった」
「期待というか…なんか締まらないじゃないですか」
二年の一人が、口を尖らせて。
その言葉に柚までもがくすくすと笑った。
「確かに」
「とは言ってもな…俺、そういうのあんまり得意じゃ…」
大会が全て終わって、言いたいことがあれば言えばいいかなと思ってたんだけど。
…そうもいかないらしい。
「んー…」
かといって、わざとらしいことも言いたくない。
時間もないし…
…あいつなら、何て言うかな。
そう、思った時だった。
「楽しめ。
とにかく楽しめ」