風にキス、君にキス。
顔を上げると…そこに立つ日向は、呆れたように微笑んでいて。
「お節介。」
…そう小さく呟いてから。
あたし達全員の視線を背に受けて、ゆっくりとスタンドを降り始めた。
「ひな…」
「あれっ、なんで日向が?」
たった今やって来たらしい隆史先輩と雄大先輩が、少し息を切らしながらあたしの隣に腰を下ろした。
「…何々?どうなってんの?」
「あたしにもよく…分からないんですけど…」
あたしは拓巳からマイクを受け取る日向をまっすぐと見つめながら、そう答えた。
「日向は…何を話すんだろう…?」
「あ、あ。…マイク入ってるな」
軽くマイクを確かめてから、日向はにっと笑って出場者全員に向き直った。
…日向の代わりに表彰台を降りた拓巳は、微笑みながらスタンドへと戻ってきて。
雄大先輩の隣に腰掛けて、その様子を見つめた。