風にキス、君にキス。



そんな風にして、次々と互いのイメージカラーを挙げていった。



「柚ちゃんは白って感じだな」


「あ、どうしてですかっ?」


「何に対しても純粋で、常にフェアなイメージ」



隆史先輩の言葉に少しくすぐったくなる。



…そんなことも、ないんだけどな…




「じゃあ日向は…?」



あたしのイメージカラーが決まった…というか決められたあと。



…誰からともなく、視線が日向に向けられた。



「こいつは何色かね…」



雄大先輩の呟きに、全員が首を捻った。



「青色?…合わなくもないけど、なんか違うな」


「緑?いや…」


「口悪いから黒?…あ、冗談だって」


「んー…」




―――…あたしの中の、日向の色はとっくに決まっていた。



もっと、もっと前から。



…日向の走りを初めて風だと思った、あの頃から。







「…透明、かな」




< 46 / 310 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop