風にキス、君にキス。
小さい頃から日向の背中ばかり追い掛けて。
…日向が好きなものを、一緒に好きになってきたけど。
でもきっと日向にとって、あたしはそんなんじゃない…
「柚」
「…えっ?」
「明日朝練行くから」
「うんっ」
幼なじみとしてでも。
マネージャーとしてでも、なんでもいい。
…知らないうちにあたしの気持ちも、驚くほど単純なものになっていたんだ。
「県大会、頑張ろうねっ」
…風のように走る日向が見たい。
ずっと傍で、見ていたいんだ。