風にキス、君にキス。
強くなることは難しいこと。
…あたしに、出来るのかも分からない。
だけど。
あたしが頑張らなくちゃきっと…大切な何かが消えちゃうね…
「柚ちゃん、お弁当は?」
「あ。あたし食堂だから!」
友達に誘われても、あたしはそう断って。
…パンを持って、屋上へと一人で向かった。
誰かが日向の話をするのが嫌だった。
日向のいない教室にいるのが嫌だった。
…どうしようもないくらい、一人になりたくなった。
「金谷」
「っ…」
屋上に行こうとする途中、廊下で担任に呼び止められてびくっとした。
「はい…?」
「…どうだ、最近?」