キテレポ 08-09

No.24

高柳照美（76）ﾀｶﾔﾅｷﾞﾃﾙﾐ

76歳には思えないほどの抜群の運動神経を持つ彼女は、今もなお、様々なスポーツで汗を流す。
ゲートボール、マレットゴルフ、ペタンク、卓球、ビリヤード、ボーリング、水泳、とまぁここら辺まではだいたい予想がつくだろう。しかし、彼女の守備範囲はこんなもんじゃない。
柔道、柔術、ドッジボール、ポートボール、バドミントン、ブタミントン、50mダッシュ、五十嵐さんちへの嫌がらせ(ピンポンダッシュ)等々。かなりアグレッシブに幅広く展開している。
とにかくはす向かいの五十嵐八重さん(74)との確執が半端じゃない。彼女のバイタリティーは間違いなくそこからきている。毎日の鍛錬を欠かさないのも、五十嵐さんとの果たし合いに向けての事だし、だいたい老婆が朝からプロテインを嗜むなんて、通常考えられない。相場はお茶か常温の水だ。
対する五十嵐さんも負けてはいない。来るべき果たし合いに備えて、朝から晩までサンドバッグを殴り続けている。相手は柔道や柔術をマスターしている。寝技では勝ち目がない。そう判断した彼女は、打撃で勝機を見いだそうとしているのだ。最近は、前蹴りで距離を取る練習や相手のタックルに膝を合わせる練習など、実戦さながらに行っている。テイクダウンを奪われる前に終わらせる寸法だ。
それにしても、何が原因でこんな事になってしまったのか。そもそも高柳照美と五十嵐八重さんとは、夫を含め、4人で温泉旅行に出掛けたりする程、仲の良い間柄であった。しかし、この温泉旅行。何やら事件の匂いがプンプンしてくる。そう。全てはこの温泉旅行から始まったのである。


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