キテレポ 08-09
No.31

鴨志田肇(42)カモシダハジメ

彼は同じ品物を3つ買う。
同じ品物を必ず3つ買う。
これは“ナベアツの世界観”云々ではなく、「なくなったらどうしよう。」という“不安感”と、「2つじゃ少ない。かと言って4つは多すぎる。」という“長年の勘”からくるものである。
曰わく、「2つだと、仮に1つ目が不良品だった場合、即日にストックがなくなる。4つだと、仮に1つ目が予想以上に長持ちした場合、4つ目は劣化して使う前に壊れる。だから、どう考えても3つがベスト。」
よく分からないが、要するに彼は『極度の心配性』なのである。
無論、正月に餅なんか食わない。喉に詰まる恐れがあるからだ。おやつに芋けんぴなんか出されても食えない。喉に刺さる恐れがあるからだ。晩酌に鬼ころしなんか考えられない。喉が焼ける恐れがあるからだ。
それぐらいに彼は、喉を大事にしている。
なんたって彼はテノール歌手だ。のどぬ~るスプレーが手放せないテノール歌手だ!
だからって3つは持ちすぎだ。のどぬ~るスプレーはのど飴じゃないんだ。のどぬ~るスプレーは医薬品だ。小林製薬が出してる医薬品だ!


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