キテレポ 08-09
No.7
植松富子(57)ウエマツトミコ
皆さんも記憶に新しいであろう、空前の冬ソナブーム。彼女ももれなくそのブームに乗ったうちの一人である。
部屋には無数のヨン様グッズ。壁一面に貼られたヨン様は(口紅でベトベトになっているにもかかわらず)微笑みを絶やすことなく、彼女の生活の一部始終を見届けている。それだけでもう十二分に幸せなのだ。あたかもヒロインになったような気分でいられるのだから。普段目立つことのない彼女にとって、この空間にいる時だけが、唯一生きた心地のする瞬間なのであった。
今から4年程前の2004年4月。ヨン様が初来日した。その際、彼女は「迎えに行かなきゃ」と、まるで関係者であるかのような発言を残し、単身、地元仙台から羽田へと乗り込んだ。空港内は5000人ものファンで埋め尽くされ、身動き一つ取れない程のしっちゃかめっちゃかな状態であった。しかしそんな中、彼女は幸運にも生ヨン様を(その小さく細い目で)バッチリと捕らえたのである。
『興奮のあまり失神してしまうパターン』と『興奮のあまり失禁してしまうパターン』の二つがあるが、彼女の場合は後者の方であった。よって、その夜は都内での一泊を余儀なくされた。
興奮が冷めやらずになかなか寝付けない彼女は、何度も寝返りを繰り返しているうちに、妙な違和感を感じ始めた。何か懐かしい感触が陰部から伝わってくるのだ。そう。なんと彼女は53歳にして、2年前にとっくに止まったはずの生理が復活したのである。準備万端になったのである。まぎれもなくこれは、ペ・ヨンジュンという名の貴公子、いや、整備士の手によるものである。なんともはや、『微笑みの貴公子』は『腕利きの整備士』でもあったのだ。
この男には勝ちようがない。
唯一私が勝てるものと言えば、視力ぐらいなものだろう。
しかし、もしあれが伊達メガネだとしたら…。
くわばらくわばら…。
部屋には無数のヨン様グッズ。壁一面に貼られたヨン様は(口紅でベトベトになっているにもかかわらず)微笑みを絶やすことなく、彼女の生活の一部始終を見届けている。それだけでもう十二分に幸せなのだ。あたかもヒロインになったような気分でいられるのだから。普段目立つことのない彼女にとって、この空間にいる時だけが、唯一生きた心地のする瞬間なのであった。
今から4年程前の2004年4月。ヨン様が初来日した。その際、彼女は「迎えに行かなきゃ」と、まるで関係者であるかのような発言を残し、単身、地元仙台から羽田へと乗り込んだ。空港内は5000人ものファンで埋め尽くされ、身動き一つ取れない程のしっちゃかめっちゃかな状態であった。しかしそんな中、彼女は幸運にも生ヨン様を(その小さく細い目で)バッチリと捕らえたのである。
『興奮のあまり失神してしまうパターン』と『興奮のあまり失禁してしまうパターン』の二つがあるが、彼女の場合は後者の方であった。よって、その夜は都内での一泊を余儀なくされた。
興奮が冷めやらずになかなか寝付けない彼女は、何度も寝返りを繰り返しているうちに、妙な違和感を感じ始めた。何か懐かしい感触が陰部から伝わってくるのだ。そう。なんと彼女は53歳にして、2年前にとっくに止まったはずの生理が復活したのである。準備万端になったのである。まぎれもなくこれは、ペ・ヨンジュンという名の貴公子、いや、整備士の手によるものである。なんともはや、『微笑みの貴公子』は『腕利きの整備士』でもあったのだ。
この男には勝ちようがない。
唯一私が勝てるものと言えば、視力ぐらいなものだろう。
しかし、もしあれが伊達メガネだとしたら…。
くわばらくわばら…。