偽装婚約~秘密の契約~
『ははっ
残念だな、沙羅』
なぜか笑う晴弥。
瑞季さんは言ったんだ。
何かお困りなことがあったら私の名前を呼んで下さい、って。
だから、大声で呼んだだけなのに。
『瑞季はもう自分の部屋へ行ったよ。
さっき沙羅の部屋に入る前に瑞季にもう部屋に戻っていい、って言ってきたからな。
さて、沙羅。
どうする?
誰もお前を助けになんてきてくれないぞ?』
なんてヤツだ…
この悪魔め!!
『ん?どうした?
いつも達者な口が閉じてるけど』
うるさいっ!
と、言おうと思ったが堪えてひたすら晴弥を睨む。
『沙羅?お前の言うこと1つだけ、聞いてやるよ』
突然、晴弥はそんなことを言い出して。
何?
何?
なんなの?
あたし…晴弥に勝った?
だが、すぐにあたしの考えは間違いだと気づかされる。
晴弥になんて勝てるワケが…なかったんだ。