偽装婚約~秘密の契約~





『………おはようございます、沙羅様』


うぅ…最悪だ…



「瑞季さん…あたしを…助けて下さい」

すっかりさえてしまった目で瑞季さんを見つめる。



『寝ていらっしゃらないのですか?』


目の下にできたクマを見てか瑞季さんは言う。



「眠くて寝ようと思ったんですけど、コイツのせいですぐ目が覚めちゃって」


瑞季さんは苦笑いしながら晴弥へ声をかける。



『晴弥様。

朝です。起きて下さいませ』


『………ん…?』


うっすらと目を開ける晴弥。



『瑞季、朝食の準備』


『かしこまりました』


って…え?

まだあたしは開放してもらえないんですか?


結局、あのあと晴弥はあたしを離してくれなくて。

今も尚、晴弥の腕の中にいるあたし。









< 120 / 295 >

この作品をシェア

pagetop