偽装婚約~秘密の契約~
『………おはようございます、沙羅様』
うぅ…最悪だ…
「瑞季さん…あたしを…助けて下さい」
すっかりさえてしまった目で瑞季さんを見つめる。
『寝ていらっしゃらないのですか?』
目の下にできたクマを見てか瑞季さんは言う。
「眠くて寝ようと思ったんですけど、コイツのせいですぐ目が覚めちゃって」
瑞季さんは苦笑いしながら晴弥へ声をかける。
『晴弥様。
朝です。起きて下さいませ』
『………ん…?』
うっすらと目を開ける晴弥。
『瑞季、朝食の準備』
『かしこまりました』
って…え?
まだあたしは開放してもらえないんですか?
結局、あのあと晴弥はあたしを離してくれなくて。
今も尚、晴弥の腕の中にいるあたし。