偽装婚約~秘密の契約~
『じゃ、もう1度俺とキスするか?
そしたら自分の本当の気持ち、分かると思うぞ?』
ニヤッと笑った晴弥。
その顔は、やっぱりカッコ良くて。
ダメ。
ダメ。
ダメ!
ダメだよ、沙羅。
目を閉じれば、そのイケメンの仮面を被った悪魔、晴弥に負けちゃうんだよ!?
だから、ほら。
拒否しなさい!
自分の中にいるもう1人の自分に言われ、目を閉じる寸前に晴弥の胸を押し返す。
もうなんであたし…晴弥にキスされるのがイヤなのに目閉じようとしちゃうんだろう…
『沙羅、諦めろよ』
「ヤだ!
もう絶対、あんたにキスされないの!」
だってコイツにキスされると頭が麻痺しちゃうんだもん。
頭の中が真っ白になって、
頭の回転も鈍くなって、
もう何も考えられなくなって。
アイツのキスにはそんな魔力があるんだ。
その魔力に犯されれば、もう晴弥の虜(トリコ)…ってあたしは虜になってないけどね!
かろうじて。