偽装婚約~秘密の契約~
『沙羅?
俺、昨日言ったろ?
沙羅は俺のペットだ、って』
ペット…
ペット…
ペット…!?
そうだ、昨日もコイツは言ったんだ。
「だからあたしはペットじゃないってば!
いい加減にしてよ!
あたし、お腹すいたんだけど!」
実際、もうすぐお腹鳴りそうなワケで。
それに実はトイレに行きたかったり。
『はぁ…
ったく、色気より食い気だな、沙羅は』
晴弥は仕方なさそうにあたしから離れる。
やった…?!
やったー!!
急いでトイレへ向かうために走り出そうとするとガシッと腕を掴まれる。
「ちょっ……っ…!」
ちょっと!そう、言おうと思ったのに。
言い終わらないうちに、アイツの唇であたしの唇はふさがれてしまった。