偽装婚約~秘密の契約~
「沙羅、朝からそんな怒ってたら1日もたないよ?」
朝、学校に着いたと同時に朝の出来事を芽依に話した。
そうすると芽依は笑いながらそう言ったのだ。
「でもさ、ホント、ありえなくない!?
朝からあんなことするとかっ!」
ましてやあたしと晴弥は恋人同士ってワケじゃない。
ただの偽装婚約者。
半年間だけの付き合い。
それだけの関係なのに、なんでキス…されなきゃならないワケ?
「ま、そんだけ晴弥に愛されてるってことだよ」
「愛されてる?!」
思わず声が大きくなる。
何よ!?
愛されてる、って。
「んなワケないでしょ!
だって晴弥は…」
そこで、あたしはある光景に釘付けになって。
先の言葉を言うことができなかった。
「………沙羅?」
芽依がそう声をかけてくれるまで、あたしの意識はどこかへ飛んでいて。
「……ねぇ、芽依。
あの人…誰?」
そう言ってあたしは窓の外を指さす。
そこには…晴弥が、女の子に抱きしめられている、そんな姿があった…