偽装婚約~秘密の契約~
「………さ、沙羅?
あたし、目悪いから見えない…や」
あからさまに芽依の様子がおかしくて。
「ね、ジュウゴ。
あれ…誰?」
隣であたしたちの会話を聞いていたジュウゴに話を振る。
『………俺には言えない。
悪いな、沙羅。
どうしても知りたいなら、晴弥本人に聞け』
ジュウゴはいっさいあたしと目を合わせようとはしなくて。
何かある。
直感で感じた。
何かマズイことがあるんだ。
それに…おかしい。
さっき、晴弥に抱きついてた女の子を見下ろす晴弥の目は、とてつもなく優しくて。
いつもの感情のない目ではなく、
信じられないくらい温かい目で。
なんでだろう。
胸が…痛い。
このキモチ、なんなの…??