偽装婚約~秘密の契約~
ジュウゴがサボったのが6時間目。
そしてHRになってもジュウゴは帰って来なかった。
「さらー!帰ろ~!」
HRが終わると芽依が駆け寄ってくる。
ジュウゴの席を気にしながら立ち上がった。
「芽依は長門あずさって知ってる?」
そう聞くと芽依の表情が一瞬、強ばった。
「ま、まあね。
有名人だからこの学校で知らない人なんていないんじゃない?」
いつものように人を惹きつける、そんな笑顔を浮かべる芽依。
でもちょっとだけいつもとは違う、そんな顔。
「あ!芽依~!
探してたの~!」
と、そこへ少し高く透き通る声が芽依を呼び止めた。
「………っ」
それと同時に芽依の肩がビクッと跳ね上がる。
ヘンだなぁ…なんて思いながらゆっくりと振り返った。
そこには…
「………………あ…」
朝、晴弥に抱きついていた、長門あずさが立っていた。