偽装婚約~秘密の契約~
『んだよ?その顔。
間抜けにも程があんだろ』
晴弥はそう言ってケラケラと笑う。
ちょっと…待ってよ、ホントに。
さっきの爽やか晴弥はまさか…まさかだけど、偽物?
晴弥は笑いながらコホンを1つ咳払い。
『大丈夫?沙羅?』
と、言う。
この声は爽やか晴弥の声だ。
『また間抜けな顔、してんぞ?』
この声は…さっき、あたしにキス…
「………ってあんた!
何勝手にキスとかしちゃってるワケ?!
許可取りなさいよ!許可!!」
さっきのことを思い出し、あたしは急に吠え出す。
なんてうっとしいヤツなんだろう。
『ギャーギャー騒ぐな。煩い』
晴弥は迷惑そうな目であたしを見る。
いや!おかしいでしょ!!
迷惑なのはあたしのほうだってば!