偽装婚約~秘密の契約~
『お前何言って…っ!!』
驚きすぎてソファから落ちかける。
『冗談じゃないですか。
何をそんなに驚いているのですか?』
そう言いながら瑞季は可笑しそうにクスッと笑った。
もちろん、これだけビックリしたのには理由がある。
瑞季は、男の俺から見てもかなりカッコイイ。
そんな瑞季が沙羅の傍にいつもいて。
しかも瑞季は俺に比べて数倍も、数百倍も優しい。
そんなのがいつも横にいて沙羅が惹かれないはずがないんだ。
それに瑞季だって最近、ちょっとだけ様子がおかしい。
俺が沙羅に触れているとき、沙羅を見つめる、ほんの少し、切なげな瞳。
もしかしたら瑞季は沙羅に惚れたんじゃないか…って。
ちょっとだけそんな不安があったりして。
自信過剰。
俺様。
自己中心的。
そう言われる俺だって心配の種はあるんだ。
第一、何でもできる俺でも瑞季には敵わない。
俺がもし闘って負けるとしたら、
そのときの相手は確実に、瑞季だ。
でも今、前の前で屈託のない笑顔を見せている瑞季を見ているとやっぱりさっきのは冗談だったんじゃないか、とも思える。