偽装婚約~秘密の契約~
『そうだ、沙羅。
来週末、パーティーがある。
だから今日から瑞季のレッスンを受けてくれ』
「パーティー?」
首を傾げるあたしに晴弥は言った。
『うちの会社と親しくしてもらってる会社の社長就任パーティーだ。
そこにはジュウゴも芽依も来るし、うちの学校のヤツも来る。
大きいパーティーだから恥だけはかかせるなよ』
パーティー
そんな慣れない響きにやっぱり、ここはあたしの住んでいた世界とは違うんだと思わされた。
っていうか、パーティーでダンスってことは…何?
社交ダンス的なヤツ?
あたし、リズム感覚ってものが笑えるくらい、ないんだけど。
なのに社交ダンスとか…できるんだろうか。
いや、きっとできないだろう。
ごめん、晴弥。
あたし、恥…かかせちゃうかも。