偽装婚約~秘密の契約~
それから1週間。
毎日学校から帰ってきては瑞季さんのダンスレッスンを受けた。
もうそれはそれは汗だくになるくらい、
厳しい練習だった。
そのおかげか、最初はステップすらままならなかったあたしが
ほぼ完璧にダンスをマスター。
やればできるんだ、それを痛いほどに感じた。
『沙羅、行くぞ』
「うん」
この間とは違うドレス。
メイクと髪型は瑞季さん作。
あたしはまた、別人へと化した。
『瑞季、やっぱりお前の腕はすごいな』
部屋から出て来たあたしを見て晴弥は言う。
失礼なヤツだ、まったく。
晴弥はタキシード姿で
いつも無造作にセットされてる髪の毛はいつもよりちょっとだけ、きっちりと収められている。
『いってらっしゃいませ』
いつもと同じ瑞季さんの見送り。
それを背に受け、いざ、パーティー会場へ。