偽装婚約~秘密の契約~
「お!沙羅ぁ!
ずいぶんとキレイになっちゃって!」
大きなお屋敷のパーティールームらしき場所に連れて来られる。
入ると同時に芽依と会った。
ちょっと心細かったが、芽依と会えたことで安心する。
『芽依、悪いが沙羅と話すのはあとにしてくれ。
先にあいさつを済ませてくる』
晴弥はあたしの腕を掴み、歩いて行く。
『いいか、沙羅。
お前は俺の横でニコニコしてろ。
んで適当に俺の話に合わせるんだ。
できるな?沙羅』
できるな?
って聞いてるけどさ、晴弥。
そんな顔で聞いたら
やれよ
って言ってるようなもんだよ?
「やればいいんでしょ、やれば」
作り笑いの練習も瑞季さんとやった。
そりゃあ自然の笑顔との差はあるけど、
でもなるべく自然の笑顔に近づけたつもり。
『あそこにいるのが今回の主役。
沙羅、笑え』
笑え、って…
と、思いながら作った笑顔を貼り付ける。
はぁ…
これ、結構頬の筋肉、使うんだよね…