偽装婚約~秘密の契約~
『浅井社長』
ダンディな男の人と話していた小太りの男の人に声をかける晴弥。
振り返った浅井社長と呼ばれた人は晴弥を見て笑顔になる。
『おー!遊馬電器の晴弥くんじゃないか!
久々だなぁ。
随分大きくなって!』
『ご無沙汰しております。
本日は社長就任、おめでとうございます。』
丁寧に頭を下げる晴弥。
晴弥に軽く手を引っ張られ、慌てて頭を下げた。
『おいおい、やめてくれよ、晴弥くん』
ガハハと大口を開けて笑っている浅井社長。
『そう言えばお隣のべっぴんさんはどなたかな?』
突然あたしに話が振られ、ドキッとする。
『ご紹介遅れて申し訳ないです。
僕の婚約者の』
「鬼灯沙羅と申します。
よろしくお願いします。」
瑞季さんと練習した作り笑い。
『晴弥くん!
いい娘を捕まえたじゃないか~』
また大口開けて笑っている。
『いえいえ。そんな』
なんて言いながら晴弥も笑っていて。
ってか、今気づいたんだけど。
晴弥の作り笑い…完璧な仕上がりなんですけど。