偽装婚約~秘密の契約~
『もう好きにしてていいから』
そう言われ、晴弥は人混みの中へ消えていく。
あ、あの…
好きに、って言われても困るんですけど。
芽依さえ見つかればな…
なんて思いながらキョロキョロしていると突然、肩を叩かれる。
慌てて振り返ると
『沙羅だって分かんなかった』
なんて言いながらニヤッと笑うジュウゴがいて。
「でしょ?
あたし、キレイになった?」
『自分で言うな、アホ』
いつものやり取り。
ま、これはお決まりだからね。
『あんまりこういうところでキョロキョロすんな。
みっともないぞ。
晴弥が見たらキレるから。
堂々としてればいいんだ、堂々と。』
ジュウゴはそう言ってあたしの背中をバシッと叩いた。