偽装婚約~秘密の契約~
「沙羅ぁ~!
探してたんだからー!」
それからジュウゴのおかげで無事に芽依を発見。
「ごめん、ごめん。
ここ広くって」
そう言うと芽依はあたしの耳に顔を近づけた。
「まだまだこんなの小さい方。
もっと広いよ、普通は。
ジュウゴんちならこれの2倍はあるね」
「え……」
隣でオレンジジュースを飲んでいるジュウゴを思わず見てしまった。
『なんだよ?』
「あ…いや、別に。」
ジュウゴ…やっぱり本物だ。
本物のお金持ちなんだ。
小学生のときのジュウゴは庶民だったのに…
なんて思いながら会場を見渡す。
このパーティールームが小さい方で?
ジュウゴの家ならこれの2倍?
まったく、想像つかないんですけど。
「ついでに晴弥のとこはジュウゴのより広いよ?多分」
いやいやいや…
芽依?
あたし、そんな場所、見たことないし。
それに、ジュウゴの家のパーティールームですら想像つかないあたしに、
それ以上のものなんて想像できないんですが…