偽装婚約~秘密の契約~
「………………さら…」
芽依は気まずそうにあたしから視線を逸らす。
やっぱり…言えないんだ。
芽依は悪くない。
悪いのは…
悪いのは…
誰なんだろう。
分かんない。
誰が悪いとか、そんなの…分かんない。
でも、この、あたしの不安は…いったいなんなの?
あずさに晴弥がとられちゃうかもしれない。
それだけは絶対にイヤだって、このキモチ…なんなの?
「沙羅。言うよ。
2人の…関係」
あたしの腕を掴んだままの芽依が呟く。
「2人は…昔、付き合ってたんだ――………」