偽装婚約~秘密の契約~
気づいてた。
気づいてたよ。
だから、やっぱり、って感じだった。
「そっか。教えてくれてありがとう。」
芽依にふっと笑って見せてパーティールームへ戻った。
ね、晴弥?
昨日、あんた言ったよね?
『あずさとは、なんでもないんだ』
って。
昔、付き合ってたのに、なんでもない?
ホントに?
あたし、あんたの言葉…信じられない。
さっき、あずさにめちゃくちゃ優しい顔で笑いかけてた。
あたしには見せてくれたことのない顔だったよ。
ね?気づいてる?
自分で、そのこと分かってるの?
芽依は『昔』って付けてたけど、違うんでしょ?
今もまだ、関係は続いてるんでしょ?
もう、いい。
もう、いいよ。
あんたがそんなに隠したいなら隠せばいい。
あずさとコソコソ関係を続けてくれればいい。
どうせ、あたしとは半年間だけの
『契約』
そんな文字で繋がれた関係なんだから。
あたしはもう、何も言わない。
ただ、一言だけ。
一言だけ、言わせて。
晴弥。
あんた、人間としても
男としても
最低…だよ