偽装婚約~秘密の契約~





気づいてた。

気づいてたよ。


だから、やっぱり、って感じだった。



「そっか。教えてくれてありがとう。」


芽依にふっと笑って見せてパーティールームへ戻った。



ね、晴弥?

昨日、あんた言ったよね?


『あずさとは、なんでもないんだ』


って。


昔、付き合ってたのに、なんでもない?

ホントに?


あたし、あんたの言葉…信じられない。

さっき、あずさにめちゃくちゃ優しい顔で笑いかけてた。


あたしには見せてくれたことのない顔だったよ。


ね?気づいてる?

自分で、そのこと分かってるの?


芽依は『昔』って付けてたけど、違うんでしょ?

今もまだ、関係は続いてるんでしょ?


もう、いい。

もう、いいよ。


あんたがそんなに隠したいなら隠せばいい。

あずさとコソコソ関係を続けてくれればいい。


どうせ、あたしとは半年間だけの

『契約』

そんな文字で繋がれた関係なんだから。


あたしはもう、何も言わない。



ただ、一言だけ。

一言だけ、言わせて。




晴弥。


あんた、人間としても


男としても



最低…だよ















< 151 / 295 >

この作品をシェア

pagetop