偽装婚約~秘密の契約~
それからというものパーティーが終わるまで
あたしは必死で明るく振る舞った。
なぜか泣きそうになって。
目頭が熱くなる度に上を向き、
深く息を吸い込んで笑って見せた。
あれだけ練習したダンスは結局やらず終い。
練習…頑張ったのに。
なんて思っているとパーティーはお開き。
『帰るぞ、沙羅』
「…………ん」
いつも通りの晴弥。
でも、あたしはいつも通りでいられるワケなくて。
『元気ないな、沙羅。
初めてのパーティーで疲れたか?』
珍しく気を遣うようなこと言っちゃってさ。
それは後ろめたいことがあるからなの?晴弥。
そんなひねくれたことを考えながら
「……まあ、そんなとこ」
と、答えておく。
『帰ったらゆっくり休め。
そのうちこんなこと、慣れるから』
「…………うん」
はぁ…
思わず、溜め息が溢れた。
どうしてだろう。
最低だ、って思ってるのに。
なぜか、
心の底から
アイツを
………キライになれないんだ