偽装婚約~秘密の契約~
「ごちそうさまです。
すごくおいしかったです」
『左様ですか。
それは良かったです』
瑞季さんは微笑む。
「晴弥は…どこに行ったんですか?」
『ジュウゴ様のところに。
なんだかひどく考え込んでいる様子でした』
「そう…ですか」
あんなヤツのこと、なんで気にしてるんだろう。
あたしってば。
『沙羅様も行きますか?
ジュウゴ様のところへ。
きっとそこには芽依様もいらっしゃると思いますよ。』
「え…?」
晴弥のいるとこに?
それはちょっと気が引けるけど。
でも、ジュウゴの家に行ってみたいし、
何より芽依に会いたい。
「準備…してきます」
そう言うと瑞季さんは満足そうに微笑んだ。
さも、あたしがこう言うことが分かっていたかのようだった。