偽装婚約~秘密の契約~
そっか。
そうだったんだ。
芽依とジュウゴはあずさのことをあずさ、って呼んでた。
他の人は『長門さん』そう呼んでるのに2人と晴弥は名前で呼んでたっけ。
なんでそのときに気づかなかったんだろう。
晴弥とあずさが恋人同士だった、って。
だって、晴弥と親友のジュウゴがあずさと仲良くなるのは必然だし、
ジュウゴの許嫁の芽依があずさと仲良くなるのも必然、でしょ?
だったら気づけたじゃない。
いや…違うね。
気づいてたんだよ、本当は。
でも気づかないフリをしていたんだ。
そのことから、目を逸らしてた。
必死で違う、そうじゃない、って思い込もうとしてたんだ。
逃げたって変わらないのに。
気づかないフリしたって結局は同じことだ。
傷つかず、この問題を終わらすことはきっと、できない。
今、ここでこの問題から逃げて結局あたしは、傷ついて。
昨日よりたくさん、泣くんだろう。
それを先延ばしにするか、しないか。
ただ、それだけの話。
だったらもう、正面からぶつかろう。
イヤなことはさっさと終わらせたい主義なんだよね、あたし。