偽装婚約~秘密の契約~
『………充血、してんな』
今まで黙っていた晴弥が突然、口を開いた。
「そ、そう?
夜更かし…したせいじゃない?」
なるべくいつも通りを装う。
うまく、演技できているだろうか。
『ウソ、つくなよ。
昨日、お前の部屋から泣き声が聞こえてた』
今だと思った。
今しか切り出すチャンスはないと思った。
だから言ったんだ。
「もしかして、次に聞くのはどうして昨日、泣いてたんだ?じゃない?」
そう言うと晴弥はまた黙って。
あたしは続ける。
「教えてあげる。
あんたのせいよ。
あんたのことで、あたしは泣いてたの」
ジュウゴと芽依が黙って部屋を出て行こうとした。
だから
「2人とも、座って。
2人にも聞いててほしいの」
と、引き留めた。
「ね、晴弥。
もう…やめない?
こうやってお互いのこと探るように接するの、もうやめない?
あたしは何言われても平気だから。
だから、ちゃんと、教えて。
何も隠さず、あずさとのこと、教えて」