偽装婚約~秘密の契約~
『でも、2人が別れずに、問題は解決するはずがなかったんだ。
なんたって反対してるのはあずさ側だけじゃない。
晴弥の親…いや、晴弥のお母さんが猛反対だったんだ。
遊馬電器の敵と結婚の約束を交わしてるような娘との付き合いなんて許さない、って。
もし、別れないなら晴弥を留学させる、って言って聞かなかった。』
要するに、現代版ロミオとジュリエット、ってワケね?
ちょっと違うかもしれないけど。
『瑞季さんの助けもあって、2人が会えなくなってから1週間後の真夜中。
2人は密会した』
チラッと瑞季さんへ視線を走らせるとバッチリ目が合った。
瑞季さんはいつものようにニコッと笑ってはくれず、ただただ、心配そうにあたしを見ていて。
きっと、瑞季さんは気づいてるんだ。
あたしの中にある。
晴弥へのキモチを。
『あずさは、言った。
泣きながら、俺へ言ったんだ。
私は晴弥さえいればいいんだ。
地位なんていらない。
そんなもの、捨てればいい。
晴弥が一緒ならゼロからでもやっていけると思うの。
だから私と一緒に逃げよう』
突然、晴弥が話し出した。
そして、晴弥の口から出た言葉は、
小説か、漫画か。
はたまたドラマで出て来そうなセリフ。
でも、あずさはそんなクサイ台詞を純粋に、晴弥に言ったんだと思う。
そして、この話は初耳なのか
ジュウゴと芽依が驚きを隠せない顔で晴弥を見ていた。