偽装婚約~秘密の契約~
『そこでお二人の関係は終わりました。
もちろん、今現在、晴弥様はあずさ様とお付き合いなど、しておりません。
沙羅様。
今、話したことは真実です。
ウソ偽りなど、一切、ございません。
これで…晴弥様を、もう1度信じることはできませんか?』
6つの目が、あたしを見ていた。
晴弥以外の6つの目。
「……分かった。
もう1度…信じようと思う」
心の中にもう1ミリも疑うキモチがないかと聞かれれば、
それは、頷くことができない。
でも、話を聞く前よりは確実に、あたしの心の中を疑いが占める割合は減っていた。
『……なんだよ、沙羅。
その上から目線的な発言は。
それはお前の役目じゃなくて、俺の役目だろ?』
「はぁ?!
ちょっと、晴弥!
勘違いしないでよ!
あんたを完全に許したワケじゃないの!
そうやってすぐまた調子に乗るな!!」
『お前が調子に乗るな』
「………晴弥ぁー!!」
始まったよ…とでも言いたげなジュウゴの顔。
芽依は呆気にとられていて。
瑞季さんは呆れたように笑っていた。
もう1度。
もう1度、信じるからさ、晴弥。
だからもう、お願いだからあたしを不安にさせないで。
晴弥。
あたし、晴弥が―――………