偽装婚約~秘密の契約~
それから、1週間。
忙しそうに動き回る瑞季さん。
晴弥は晴弥でずっとパソコンと向き合っていて。
あたしはソファに座って瑞季さんと晴弥を交互に見ていた。
そして、婚約披露パティー当日。
あたしは、驚くほど、キレイになって鏡の前に立っていた。
『とても、お綺麗ですよ、沙羅様』
そう言って目を細める瑞季さん。
今まで瑞季さんに何度もメイクしてもらったが、
このメイクは最高峰だ。
きっと、どんな女の子もキレイになれる、そんなメイク。
瑞季さんて…やっぱりすごい。
『沙羅、自分に見とれてる暇はないぞ。
招待客が来始めてる』
壁により掛かり、腕を組む晴弥はタキシードで髪の毛はきっちりセットされている。
そして普段はコンタクトなのになぜか今日は黒縁眼鏡。
『あ、そうだ。
言うのを忘れてたけどメディアも来るから。』
………メディア?
メディアって…アレですか?
テレビとか新聞とか雑誌とか。
その、メディア…ですよね?
…………晴弥。
お願いだから、そんな大事なことを言い忘れるのだけはやめて。