偽装婚約~秘密の契約~




『脱帽だ、晴弥』


お手上げ、と言わんばかりのジュウゴの顔。



「さすがだね~

世界の遊馬の御曹司はやっぱり普通の人間とは違うわ」

芽依は感心したように頷き、そう呟く。


晴弥は本気なんだ。

お母さんを騙すために、本気なんだ。


だとしたら、あたしも腹をくくろう。


メディアがなんだ。

500人の招待客がなんだ。


あたしには、関係ない。

関係ないんだ、あたしに。


そう自分に思い込ませることで緊張をなんとかほぐそうとした。


でもそんなことができるはずもなく、

心臓がドクドクと大きな音をたてていた。













< 174 / 295 >

この作品をシェア

pagetop