偽装婚約~秘密の契約~
『脱帽だ、晴弥』
お手上げ、と言わんばかりのジュウゴの顔。
「さすがだね~
世界の遊馬の御曹司はやっぱり普通の人間とは違うわ」
芽依は感心したように頷き、そう呟く。
晴弥は本気なんだ。
お母さんを騙すために、本気なんだ。
だとしたら、あたしも腹をくくろう。
メディアがなんだ。
500人の招待客がなんだ。
あたしには、関係ない。
関係ないんだ、あたしに。
そう自分に思い込ませることで緊張をなんとかほぐそうとした。
でもそんなことができるはずもなく、
心臓がドクドクと大きな音をたてていた。