偽装婚約~秘密の契約~




『沙羅。

どうした?
んな顔してお前らしくもない。

もっとリラックスしろよ』


リラックス…?


「そんなの、無理に決まってるじゃない!

この状況で落ち着けってほうが無茶!!」


そう言うとなぜか晴弥は笑って。


『いつもの煩い沙羅だな』


「うるさいは余計」


晴弥はあたしの言葉を聞くと満足そうに笑う。

そしてあたしの頭の上に手を置いた。


こんなこと、初めてで。

なぜかものすごくドキドキした。



『沙羅。

お前は何も喋らなくていい。


とにかく俺の隣でニコニコ笑ってろ。

これで、後々の展開が大きく変わってくる。


頼むな、沙羅』


晴弥に頼む、なんて言われるのは初めてで。

もしかしたら、こんな余裕をかましてるように見える晴弥も緊張しているのかもしれないとふと、思った。



『そろそろ、よろしいでしょうか』


奥から瑞季さんが登場。


『いつでもいいぞ』

晴弥の返事を聞いたと同時に瑞季さんが扉を開けた。


あまりのまぶしさに思わず、目を閉じる。


『いくぞ、沙羅』

晴弥はあたしの手をぎゅっと握った。


そしてパーティーの会場に足を踏み入れた。









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