偽装婚約~秘密の契約~





『晴弥。

初心者の沙羅にこのハードさは辛すぎるだろ』


苦笑いでジュウゴはあたしをチラチラ見ながら晴弥に言う。



『仕方ないだろ。

沙羅の半年を俺は買ったんだ。


その分、働いてもらわないとな』


この冷徹人間が!

と、心の中で叫ぶ。



『それに、多分、ここが正念場だ。

ここを越えればあとは楽に過ごせるはずだから』


『だってさ、沙羅。

どうだ?頑張る気になれたか?』


ジュウゴに突然、話を振られる。



「……やるしかないんだったらやるわよ」


やってやるよ。

仕方ないじゃない。



『じゃ、もう一頑張りしてこい。』


「頑張れ!沙羅!」


ジュウゴと芽依のエールを背中に受け晴弥と進んでいく。


もしかしたら、疲れてるあたしを頑張らせるために声をかけてくれたのかもしれない。

だとしたら、アイツ、相当いいヤツじゃんか。


後ろを振り向くとジュウゴはまだ、あたしを見ていて。

そして拳を向けてきた。


……ったく変わってないな、ジュウゴ。

小学生のときからのクセなんだ、アレ。


ジュウゴが人を応援するとき、絶対アレをやる。


あたしはよしっ!と心の中で気合いを入れてまた、笑顔を作った。


さっきより気が楽なのは


ジュウゴの気遣いのおかげなのか

はたまたあたしのやる気が復活したせいなのかは…謎。








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