偽装婚約~秘密の契約~
ドアの向こうはフローリングのとにかく広い部屋。
一つ言えることと言えばこの家とは似合わない部屋だ、ってこと。
和風の家の中にある洋風の部屋。
20畳近くありそうなリビングには真っ黒の大きなソファ。
奥にも扉があって。
マンションの1室みたいだ。
『こっちが俺の部屋。
でその隣が沙羅の部屋だ。
一緒に住むっつっても寝室は別だから。
荷物はもう部屋に運んである。
多分、明日か明後日には全部、荷物は揃うと思うから』
晴弥は言うだけ言うと自分の部屋に入って行った。
あたしは隣の部屋のドアを開ける。
12畳ほどのスペースにベット、机、ソファがあり隅に段ボールが積んである。
ここが…あたしの…部屋?
あ…そうだ。
ふと、我に返る。
とりあえず連絡しよう。
洋介に。
洋介とは、あたしの彼氏だ。
これでも一応、彼氏はいる。
晴弥にも衰えないほどのイケメン。
ポケットから携帯を取り出す。
そして開く。
でも…
「なんで…圏外…?!?!」